不要になった金庫の処分を業者に見積もってもらった時、その費用の高さに驚いた方もいるかもしれません。「ただの鉄の箱を捨てるだけなのに、なぜこんなにお金がかかるの?」その疑問はもっともです。金庫の処分費用が高額になるのには、その特殊性からくる、いくつかの明確な理由が存在します。その費用の内訳を理解することで、提示された金額にも納得がいくはずです。まず、処分費用の中で大きなウェイトを占めるのが「収集運搬費」です。これは、単なる出張料とは意味が異なります。金庫は、ご存知の通り、極めて重たい重量物です。家庭用の小さなものでも数十キロ、オフィス用となれば百キロを超えることも珍しくありません。これを安全に家の中から運び出し、車両に積み込むためには、屈強な作業員が複数人必要になります。また、階段を使って下ろしたり、狭い通路を通ったりと、搬出作業の難易度が高ければ、それだけ人員も時間も要するため、費用はさらに加算されます。この人件費と、搬出に必要な専門機材の費用が、収集運搬費の基本となります。次に、「処分費用」そのものがかかります。前述の通り、金庫は自治体のゴミ処理施設では処理できない「適正処理困難物」です。そのため、回収された金庫は、専門の産業廃棄物処理施設へと運ばれます。そこでは、まず頑丈な鋼鉄のボディと、内部に充填された耐火コンクリートなどを分離する、特殊で大掛かりな破砕・選別作業が行われます。この専門的な処理プロセスにも、当然ながらコストがかかるのです。この「収集運搬費」と「処分費用」を合わせたものが、私たちが支払う処分費用の総額となります。つまり、金庫の処分費用とは、その重量と頑丈さゆえに必要となる「特別な人手」と「特別な処理」に対する対価なのです。決して不当に高いわけではなく、安全かつ法令に則って処分を行うための、正当なコストであると理解する必要があるでしょう。
金庫の処分はなぜこんなに高いのか?費用の内訳