スマートキーとキーレスエントリーの違いについて話す時、事態を少しややこしくするのが、自動車メーカーごとに異なる独自の呼び名の存在です。特にスマートキーシステムに関しては、各社がブランドイメージを高めるために、様々な商標名を用いています。これらの名称を知っておくと、中古車情報誌を見たり、友人と車の話をしたりする際に、混乱せずに済みます。例えば、「スマートキー」という言葉を最初に広く使ったのはトヨタで、正式名称は「スマートエントリー&スタートシステム」です。これが一般名詞のように普及したため、多くの人がこのタイプの鍵を総称してスマートキーと呼んでいます。日産では「インテリジェントキー」という名称が使われています。これも非常に有名で、スマートキーと同義語として認識している人も多いでしょう。ホンダは「Hondaスマートキーシステム」、スバルは「キーレスアクセス&プッシュスタート」、スズキは「キーレスプッシュスタートシステム」、ダイハツは「キーフリーシステム」、マツダは「アドバンストキーレスエントリー&スタートシステム」といった具合に、各社が独自の名称を持っています。これらは全て、キーを携帯しているだけでドアの解錠・施錠やエンジン始動ができる、いわゆる「スマートキー」に分類されるシステムです。つまり、呼び名は違えど、その基本的な機能や仕組みは同じなのです。一方で、「キーレスエントリー」という言葉は、メーカーを問わず、ボタン操作でドアロックを遠隔操作するシステムを指す、より一般的な技術用語として使われることが多いです。この「メーカーごとの愛称」と「技術的な総称」が混在していることが、時として混乱を生む原因となっています。しかし、本質はシンプルです。呼び名に惑わされず、「キーの操作が必要か、不要か」という一点に注目すれば、そのシステムがどちらの世代のものなのかを正しく理解することができます。
呼び方の混乱「インテリジェントキー」「キーフリー」とは