暮らしに必要なあらゆるものが揃うホームセンター。その一角に設けられた合鍵コーナーは、多くの人にとって最も身近で、そして気軽に利用できる合鍵作成の窓口と言えるでしょう。週末に家族で買い出しに出かけたそのついでに、ほんの数分の待ち時間で新しい鍵が手に入る。この手軽さとスピード感は、ホームセンターならではの大きな魅力です。ホームセンターでの合鍵作成は、非常にシンプルなプロセスで進みます。まず、サービスカウンターに元の鍵を持って行き、合鍵を作りたい旨を伝えます。店員さんは、壁一面にずらりと並んだ数百種類ものブランクキー(加工前の鍵)の中から、あなたの鍵と全く同じ形状のものを見つけ出します。そして、キーマシンと呼ばれる専用の機械に、元の鍵とブランクキーを並べてセット。機械のスイッチを入れると、元の鍵のギザギザの形状を正確に読み取りながら、高速で回転するカッターがブランクキーを削っていきます。甲高い金属音とともに、キラキラとした切り屑が飛び散り、あっという間に元の鍵と同じ形状の合鍵が完成します。最後に、加工時に生じた細かなバリ(金属の突起)をブラシで綺麗に取り除いてもらえば、作業は完了です。この間、わずか数分。費用も、一本あたり数百円から千円程度と、非常にリーズナブルです。ただし、この手軽さには限界もあります。ホームセンターで主に対応しているのは、昔ながらのギザギザした形状の「刻みキー」が中心です。近年普及している、表面に丸いくぼみが多数ある「ディンプルキー」や、自動車のイモビライザー付きキーといった、高い防犯性や特殊な技術を要する鍵の複製は、専用の機械や部材がないため、断られてしまうことがほとんどです。家の鍵やロッカー、自転車の鍵など、比較的シンプルな構造の鍵のスペアが急ぎで必要な場合には、ホームセンターは非常に頼りになる存在と言えるでしょう。