不要になった金庫の処分方法が決まり、いざ業者に引き取ってもらうその前に、必ずやっておかなければならない、非常に重要な確認事項があります。それは、あまりにも当たり前のことですが、「金庫の中に、本当に何も残っていないか」という最終チェックです。長年使っていなかった金庫や、親から相続した金庫の場合、自分でもその存在を忘れてしまっているような、思わぬ「お宝」や「重要書類」が眠っている可能性があります。もし、中身が残ったまま処分してしまったら、それらは二度とあなたの手元には戻ってきません。業者に引き取られた金庫は、専門の施設で破砕・溶解処理されるため、中身ごと永遠に失われてしまうのです。まずは、金庫の隅々まで、手と目で徹底的に確認しましょう。底に敷かれた布や、書類を整理するための小さな引き出しの裏など、見落としがちな場所も念入りにチェックします。過去に、現金や貴金属、株券などを保管していた記憶はありませんか。実印や銀行印、土地の権利書、保険証券、パスポートといった、再発行が困難な重要書類はどうでしょうか。また、他人には見られたくない個人的な手紙や日記、写真なども、情報漏洩を防ぐ観点から、確実に回収しておく必要があります。特に、親や祖父母から受け継いだ金庫の場合は、自分では価値が分からない古銭や切手、骨董品などが眠っている可能性も否定できません。中身を全て取り出したら、スマートフォンなどで金庫の内部が空であることを示す写真を撮っておくのも良いでしょう。これは、後から「中に何か入っていたはずだ」といった、万が一のトラブルを防ぐための自己防衛策にもなります。金庫は、あなたの、あるいはあなたの家族の大切なものを守るために、長年その役目を果たしてきました。その最後の務めを終えるにあたり、感謝の気持ちを込めて、忘れ物がないかを丁寧に確認してあげること。それが、後悔のないお別れをするための、持ち主としての最後の責任なのです。
金庫を捨てる前に必ずやるべきこと